2019.8.11【外泊とランドセル】

外泊の日の朝がきた!

約束の時間までに準備をすませ、意気揚々と心菜とパパが待つ病院へ向かう。

息子は昨夜から私の実家にお願いをしていた。

一緒にお出掛けをしたかったけれど1歳9ヵ月の息子は動きたい盛り。

歩行が不安定な心菜と、アチコチ行ってしまう息子を連れての買物のハチャメチャは容易に想像がつく。

それはそれで幸せな時間だけれど、今日の外出は心菜の希望にできるだけ応えてあげたかったので、息子にはお留守番をしてもらった。

移動はパパの抱っこ!

ママの時は気をつかって車椅子にしてくれるけど、パパだと存分に甘える心菜。

副作用で体重が増えてしまってはいるが、心菜のお願いとあればパパもなんにも言わない。

パパに抱っこされている心菜。

2人の姿もまた極上の光景だ。

3人で向かったのは近くのイオン。

フードコートでお昼を食べてから、ブラブラお買物。

心菜も途中テンションが上がったのか

「歩く!」

と自ら歩き出す場面もあった。

ふらつくので介助は必要だが一生懸命に歩く。

久しぶりの前向きな姿に胸がいっぱいになった。

買物途中、ランドセルが並んでいるお店を見つけた。

心菜は年中さんで来年には早々に“ラン活”が始まる。

厳しい余命を宣告されていたのでそれを想像することも苦しかったけれど、目の前に広がるランドセルに心菜は嬉しそうだった。

ランドセルの話をすると必ず

「赤がいい!」

と言っていた心菜。

この日も赤色のランドセルが気になるようだ。

「背負ってみる?」

と聞くと、うなずく。

ふらつく心菜を立たせて、転ばないように手をしっかり持って、見本の赤色のランドセルを背負い、記念撮影をした。

写真の心菜は笑っていた。

麻痺があるからぎこちない笑顔だけど、笑っていた。

入院以来こんなにも嬉しそうな心菜は初めてな気がする。

突きつけられていた現実とランドセルを楽しみにする心菜の笑顔。

複雑な気持ちに胸がつぶれそうだった。

イオンから私の実家へ息子を迎えにいき、自宅へ帰宅。

3週間ぶりに家族が揃う我が家。

息子が自然に心菜の隣に座る。

なにげないその光景がすごく眩しくて、嬉しくて、幸せだった。

ずっとずっときょうだいが揃う姿を見ていたいと思った。

お風呂上りは家族でお揃いのパンダのパジャマ。

幸せだね

幸せだね

幸せだね

日常はとんでもなく尊いのだと身に染みて感じた。

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