2019.7.21【医師たちの険しい表情】

娘のところに戻り、看護師さんから入院についてひと通り説明を受けてから病棟に移動した。

説明をしてくれている時に看護師さんが

「お母さん大丈夫ですか?」

と何度も気遣ってくれた。

実際のところ、私は大丈夫だった。

というか、バタバタしすぎていて正直感情がついていかなかった。

病室に着くと数人の医師たちが入れ代わり立ち代わり診察に来た。

脚気?ライトで視線を追う?

今まで見たこともないような診察が次々に行われていく。

赤ちゃんの頃から、説明すれば何事もグズルことはなかった娘も、さすがに嫌がり泣き始める。

様々な診察の後、最初に診てくれた先生が病室に来て

「お父さんが来たら話します。」

と、決して和やかではない雰囲気で私に言う。

その様子と言葉から、いい話ではないことが伝わってきた。

しばらくして、息子を私の実家に送り届け、入院準備もしてきてくれた夫が到着。

同じくらいに心配した私の父と兄も駆けつけてくれた。

夫が着いてすぐに面談室に向かう。

参加したのは夫と私と私の兄。

心菜は父にお願いをした。

部屋に入ると数人の医師たちが並んでいて、皆すごく険しく難しい表情だった。

話を聞かなくても、とんでもない話なんだろうということがすぐに分かる雰囲気だった。

先ほど撮影したCTを見ながらの説明。

細かな話はあまり覚えていないが

「十中八九脳腫瘍で間違いありません。」

という言葉だけは覚えている。

腫瘍が難しい場所にある可能性も話してくれ、とにかく厳しい状況だということは素人の私でも理解できた。

あとは、より詳しい検査が必要なことと、対応病院への転院の話で面談は終わった。

ショックすぎたのか、理解できなすぎたのか、怖すぎたのか

なんでかは分からないけど涙もでない。

でも部屋を出たら娘の泣き声が聞こえて一気に我に返る。

「ママー!ママー!おうちにかえりたいよー!」

じいじに抱えられ廊下の真ん中で泣き叫ぶ娘。

私は走って向かい娘を抱き寄せた。

「長い間待たせてごめんね。」

そんな気持ちだった気がする。

しばらくは泣き止まなかった娘も、抱っこしてなだめているうちに眠りについた。

こうして、私たち家族のジェットコースターのような日々が始まった。

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