部屋に戻り荷物をまとめ、この病院での入退院の手続きも必要だったので、娘を車椅子にのせて病院の一階へ。
昨日の朝までは普通に過ごしていたのに
今は病院で、しかも娘は車椅子。
なにが起こっているのか頭がついていかず、まるで夢の中にいるようだった。
全ての手続きを終えてから病院内のコンビニで買物をした。
娘の好きなものを買ってあげるつもりだったけど
「これはパパの!これはママの!これは弟の!」
と、自分の物ではなく家族の物ばかり選ぶ。
とても楽しそうに選んでくれる。
昨日からイヤなことばかりで辛いはずなのに…
優しさ溢れる娘の姿に涙がこぼれた。
10:30、娘が乗る救急車の隊員が病棟に到着。
娘の状態を考慮しストレッチャーを持って病室まで迎えに来てくれたのだが…
娘は「乗らない!」と言う
そして、ふらつきながらも、手すりを使って一生懸命に歩いて移動。
隊員の方は何度も乗るように勧めてくれたが、絶対に乗らない娘。
『できる限りは自分でやるんだ!』
というガッツあふれる姿勢はとても娘らしい。
なにかあってはいけないと心配する隊員さんには申し訳なかったけど
私はその姿に笑ってしまった。
娘は正義感がある子だ。
YouTubeを見ながら
「レスキュー隊になりたい!」
と言っていたこともあった。
3ヶ月前に同居の養父が救急搬送された時には
救急車が到着するまでずっと私の隣で手伝ってくれて
救急隊員さんが到着すると羨望の眼差しで見つめていた。
その救急車が、今、娘を乗せるためにスタンバイしている。
娘のパワーあふれる様子に
“もう貴重な経験を楽しむしかない!
私が不安な顔を見せていたら娘も不安になってしまう。
これからできるだけ明るくいこう!”
と腹をきめた。
乗る準備ができるまでは車椅子で待っててくれたが
やはり救急車には自分で乗り込み、私は逆に力をもらった。
救急車といっても移動目的なのでサイレンは鳴らさず通常運転。
転院先の病院は自宅の近所で、車の窓からは娘の見慣れた光景もあり、移動中も楽しく話をしながら向かった。
転院先に到着し、救急搬送口から入る。
ここでも娘はストレッチャーには乗らずできる限り自力で移動し自分の身体に負けない。
入院先は小児科。
すぐさま医師から今後の説明があり、続いて部屋の整理。
午後にはMRI検査を緊急で入れてくれた。
MRI検査はじっとしているのは難しいだろうと、鎮静をかけておこなった。
昨日の緊急受診からまだ24時間も経過していないのに、すごいスピーディーにことが進んだ転院の日。
こうしてここでの2か月以上の入院生活が始まった。